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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
だが彼の胸中は、もうはりさけるようであった。
彼も若い血のみなぎる人間だ。この上の我慢はとてもできなかった。遂に決心をして、大尉のあとを追い脱艦をすることとなった。――
いま彼は、目ざす飛行島に見事泳ぎついたのだった。
彼は監視員の眼をのがれるために、遠方から得意のもぐりをつづけて、橋構の間を分けて入り、かなり奥の方の橋構まで進んで、やっと水中から顔を出したのであった。
橋構鉄塔にはいのぼると、彼は胴にまきつけてきた用意の白いズボンの水を絞ってはいた。腹から上は裸だった。何しろここは暑いところで、こうした半裸体の労働者が多いので、これで十分なのだった。
起重機のがらがらという音だの、圧搾空気の鉄槌のかたかたかたと喧しい響だの、大きなポンプの轟々と廻る音だのが、頭の上にはげしく噛みあっている。どこかでひゅーっと号笛が鳴るのが聞える。自分が忍びこんだのが見つかったのではないかと、ひやりとした。
鉄塔のかげにかくれていたが、追ってくる人もないようなので、杉田二等水兵は、そこを出て、そろりそろりと甲板の方へよじのぼっていった。こういうことなら、水兵さんだけに得意なものである。