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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

杉田は仁王立になって、この白人を睨みつけた。

「おい、日本の水兵、川上という士官が、この飛行島へ入りこんだそうだな。なぜ入りこんだのか、白状しろ。そいつを白状すれば、このヨコハマ・ジャックさまが、手前の一命だけは助けてやらあ。さあ、いえ」

ヨコハマ・ジャックとは、あだ名なのであろう。横浜にいたごろつきに違いない。

「……」

杉田二等水兵は、かたく口をむすんで、返事をしようとはしない。彼はいまにして、さっき広珍料理店で川上機関大尉をさがしにきたわけを話したことを悔いた。とうとうこの悪漢どもに、うまく利用されてしまったのだ。

「こんなにいってやるのに、手前は返事をしないな。ようし、いわなきゃ、自分でいいたくなるようにしてやらあ。覚悟しやがれ」

ジャックは、のっそり腰掛から立ちあがった。そして太い腕をさすりながら、杉田の前に近づいて、上から睨みおろした。仁王さまが人間を睨みつけているような形だった。

「この野郎!」

と、ジャックは大喝一声、大きな拳固をかため杉田の頤を覘ってがーんと猛烈なアッパー・カットを――。

「えーい!」

同時に鋭い気合が、杉田の口をついて出た。