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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
何くそと思って、立ち上った――つもりであったが、
「しずかに、しずかに」
と制する低い人の声に眼をあいてみれば、自分は見たこともない薄暗い室の隅に寝ているのであった。
誰かしらぬが二本の手が、杉田の肩をやわらかく下におさえつけているではないか。
低い声は、杉田の頭の上で二度三度とくりかえされた。
彼はいわれるままに静かに手足を伸ばした。
一たい何人であろう。
「どうもすまんです。いつの間に私はどうしてこんなところに来たのですか。教えてください」
すると低い声は軽く笑って、
「そんなことは後でいい。また出血をすると困るから、なにも考えないで、もう暫くじっとしていたまえ」
とやさしくいった。
杉田はぼんやりした頭の中で、ふとその声音に聞耳をたてた。それはたしかに、どこかで聞きおぼえのある声だった。しかも懐かしい日本語! あのような声で話した人は……?
「だ、誰です、あなたは……」
「しずかにしていなきゃいけないというのに。お前さんの言葉が誰かの耳に入ると、そのときはもうどうにも助りっこないぜ」
「あっ! そういう声は――ああ川上機関大尉だ。か、川上……」
杉田はわめいた。