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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

「ここが臭いぞ」

「開けてみろ」

「なんだ、この部屋は――」

扉がぎーいと開く音がした。

それにつづいて、数個の眩しい電灯が室内を照らしつけた。

「なあんだ、ここは殺した牛や豚の置場じゃないか」

奥に寝ていた杉田二等水兵は、ここがそんな場所だとはまだ気がつかない。あたりには累々と、殺された家畜の首がない体が横たわっているのであった。

突然だだだーんと、ピストルが鳴った。

杉田はあっと叫ぼうとした声を、のどの奥にのみこんだ。

(とうとう見つかったか)と思った時、

「誰もいやしないよ。いればいまのピストルの音におどろいて、跳ねだしてくる筈だ」

「さあ、先へ急ごうぜ」

乱暴な捜索があったものである。ピストルを放って何の手ごたえもないところから、一行は安心してそこを出ていった。

二人は、ほっと吐息をついた。

しばらくしてから、川上機関大尉は隅からのっそり立ちあがって、杉田二等水兵の寝ているところへやってきた。

「おい杉田。大丈夫か」

「はっ、私は大丈夫であります。機関大尉はいかがでありますか」

「なあに、どこもやられはしない。ときに杉田。俺は時間が来たから、ちょっと外へ出て、艦隊へ無電をうってくる。