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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
とドクトルが反対した。
リット少将は、賛成とも反対ともいわず、寝台の上に歯をくいしばっている杉田二等水兵の顔をじっと見下していた。
重傷の水兵
「ジャック。水兵杉田に、私が見舞に来たといえ」
リット少将はおもむろに口を開いた。
「へえい」
と答えてヨコハマ・ジャックは、憎々しく幅の広い肩をゆすぶって寝台に近づいた。
「こら、杉田水兵。飛行島の団長さまリット閣下がおいでになったぞ。眼をあけて、御挨拶を申しあげるのだ」
杉田はなにも答えなかった。ただ太い眉がぴくりと動いただけで、とじつづけている瞼をあけようともしない。
「太い奴だ。こら杉田、眼をあけろというのに。――こんなにいってもあけないな。うん、じゃあいつまでもそうしていろ。こうしてやるぞ」
と手をさしのばして、杉田の顔をつかみかかろうとするのを、ドクトルは横合からさしとめた。
「患者に手をかけてはならぬ。私は主治医だ」
「なにを、――」
「おいジャック。もういい、やめろ」
と、リット少将はジャックをとめた。
ドクトルはその方を向いて、
「リット少将。このような乱暴がくりかえされるのでありますと、私はこの患者の生命を保証することはできませぬ」