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かいひんそうのさつじん

海浜荘の殺人

山本 周五郎

「少年少女譚海」博文館、1938(昭和13)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,672 字 · 18 页

青空文庫

誰が犯人か

部屋の中には電灯が明々と点いていた。そして老子爵は、安楽椅子と一緒に床の上へ倒れている。

「あ! お祖父さま!」

叫びながら走寄ったが、然し彼女は慄然と其処へ立竦んで了った。血! 血! 老子爵の後頭部から溢出る血が、床にべっとりとひろがっているではないか。

「まさや――」

志津子は絶叫しながら部屋からとび出した。

下男の六助爺やとまさやと、老女中とが駈けつけてきて、すぐに医者と警察とへ電話をかけた。然し井上も久良も荒木も家の中にはいなかった。――むろん高野千之も……。

誰が犯人か

警察からは署長はじめ腕利きの刑事たちが時を移さずやって来た。――調査の結果は左の通りであった。

即ち、犯人は窓から侵入し、安楽椅子で読書していた老子爵を、鉄棒で殺害し、金庫の中から六千円余りの現金を盗んで逃亡した。是が事実のあらましである。

恐るべき事件は遂に行われた。

「あの人たちを捉えて下さい」

志津子は狂気したように叫んだ。

「久良と荒木と井上、それから、それから高野さん。この四人を捉えて下さい、犯人はきっとその中にいます」

「お嬢さんどうか落着いて下さい」

「否え、あたし知っています」