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かいりくふうとゆうなぎ
海陸風と夕なぎ
寺田 寅彦
「科学知識」1922(大正11)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,909 字 · 4 页
昼間陸地の表面に近い気層が日照のためにあたためられて膨張すると、地上一定の高さにおいては、従来のその高さ以下にあった空気がその水準の上側にはみ出して来るから、従ってそこの気圧が高くなる。すなわち同じ高さの海上の気層に比べて圧が高くなるから、この層の空気は海に向かって流れる。この流れが始まると、陸地の表面では上層の空気が他処へ流出するために圧が海上の同じ高さの点より低くなる。従って地面近くでは海のほうから陸へ向けて風が吹く、これがすなわち海風である。夜間は陸上の空気が海上のものよりも著しく冷却するから、これと反対の過程が行なわれて、上層では海のほうから陸へ、下層では陸から海へ微風が吹く、これがいわゆる陸風である。
これはすでによく知られた事実である。
上層と下層とで風向きが反対になる。この二層の境界面の高さは、場合により時刻によっていろいろになるわけであるが、通例海面から数百メートル程度のものである。航空者特に自由気球にでも乗る人はこの事実を忘れてはならない。
海陸風の原因が以上のとおりであるから、この風は昼間日照が強く、夜間空が晴れて地面からの輻射が妨げられない時に最もよく発達する。