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きえたうつくしいふしぎなにじ

消えた美しい不思議なにじ

小川 未明

「童話」1921(大正10)年8月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 8,038 字 · 16 页

青空文庫

そして、めったに笑うこともありませんでした。女は、やせて骨ばかりになった手をのばして足もとの真っ黒な砂をすくいました。そして、なにか口の中で唱えながら、それを空に向かって投げていました。また、あるときは、その河の真っ黒な水を柄の長い杓子ですくっては、やはりなにやら口の中で唱えながら、それを空に向かってまいていました。そして、その後でさも心地よさそうに、げらげらと笑っていたのです。

この怪しげな女は姉のほうでありました。

「こうして、わたしは、わざわいの砂や、水をまいてやる。これはみんな下界に落ちていって人間どもの頭にふりかかる。この砂のかかったものには不平がつづき、この水のかかったものは死んでしまうだろう。わたしは、みんなが不平に苦しみ、そして死んでしまうことを望んでいる。わたしはこんな醜い姿に生まれてきた。この宇宙の、ありとあらゆる生き物の命をのろってやる。そうだ、みんな滅ぼしてしまうまでは、こうして、わざわいの砂と死の水をふりまくことをやめはしない。」と、灰色の着物を着た姉のほうがいいました。そして、彼女は砂をまき、水をまいていました。

ここは、また別のところであります。