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きえたうつくしいふしぎなにじ

消えた美しい不思議なにじ

小川 未明

「童話」1921(大正10)年8月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 8,038 字 · 16 页

青空文庫

そこには水晶のように清らかな流れがありました。そして、その河原の砂は黄金のごとく光っていました。大空はいつもうららかに晴れて、いい香いのする紫や、赤や、青や、白の花が一面に咲いていました。太陽の光は、その河水の上にも、花の上にも、また砂の上にもいつもあふれていました。

東雲の空色のような、また平和な入り日の空色のような、うす紅い色の着物をきた少女が、この楽園を歩いていたのです。その少女は妹のほうでありましたけれど、ようすも心も、まったく姉とは反対でありました。妹はこのうえなく美しく、また快活でありましたから、すべての命あるものにはかわいがられていたのです。

彼女がその星のような瞳をじっと落とすと、花は生き生きとして香りました。河水は声をたてて笑いました。そして光る砂は、いっそうきらきらと輝いて見えたのでありました。少女は、白い柔らかな手で金色の砂をすくいました。そして、それを清らかな水の中に投げています。

「どうかこの幸福がめぐりめぐって、すべての命あるものの上に宿るように。みんなが幸福で、平和で仲よく暮らすように。」といっては、その黄金色に光る砂を河の流れに投げていました。