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きえたうつくしいふしぎなにじ
消えた美しい不思議なにじ
小川 未明
「童話」1921(大正10)年8月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 8,038 字 · 16 页
清らかな水の中が、たちまち炎の燃えたつように明るく輝いて見えました。そして幸福のにじは、遠く河の中からわきあがって、下界にまで、長い橋を懸けていたのでありました。
このにじが空にかかると、下界に幸福が降ったのであります。
ある日、暗い空のかなたに、美しいにじのたつのを怪しげなふうをした姉が見ました。そしてガラス球のような、冷ややかに光る目でじっとそれを見ていましたが、やがて舌打ちをして、いまいましそうにいいました。
「ほんとうに憎い妹めだ。わたしが、こうして下界のものを苦しめ困らしてやろうといっしょうけんめいに、黒い砂をまいたり、河水をまいたりしているのに、あちらではその邪魔をしている。あんなに幸福のにじがかかった。またそれだけ下界の滅びるのが長引くわけだ。よし、妹がそういうようにみんなを守る気なら、わたしはいっそう根気よくみんなをのろってやろう。」と、姉はいいました。そして、夜も、昼も、小止みなく砂をまき、水をまいていました。
「もう、ずいぶんわたしは、こうしてわざわいの砂をまいたり、水をまいたりした。たいてい下界のものどもは滅びる時分であろうと思うが、どうであろうか。