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からさわのいわごやのあるよのこと
涸沢の岩小屋のある夜のこと
大島 亮吉
「登高行 第五年」1924(大正13)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,010 字 · 14 页
victim. とか言ったやつさ。そうして一晩中寝ないでHと話しつづけちゃったら、そのあしたへたばったよ。…………だからさ、ワンデーやマンメリイみたいなやつは、まあたとえてみればさ、そういうような運命に出っくわすのさ。実際ふたりとも出っくわしちゃったがね。けれど山で死ぬやつはみんなこんなやつばかりじぁないだろう。無鉄砲をやって死ぬのや、出鱈目に行ってやられるやつもいるさ。だけれど、そういうのは問題にはならないよ。注意し、研究もしてみて、自信があってやってさえ、やられたというのでなくちぁね。マンメリイは先刻の言葉を、Penalty and danger of mountaineering. っていう章のところで、山登りの危険を詳しく論じてから言っているんだぜ、山登りにはかくかくの危険がある。そしてそれはかくかくして避け得られるし、勝ち得られる。けれどなお登山者の不幸は絶対には避け得られない、と言ってその後へ先刻の言葉をもって来ているのさ。ワンデーだってそうだろう。『山とスキー』に、「人力の及ぶかぎりの確さをもって地味に、小心に一歩一歩と固めてゆく時にはじめていままで夢にも知らなかった山の他の一面がじりじりと自分らの胸にこたえてくる」