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ふかがわにょうぼう
深川女房
小栗 風葉
「新小説」1905(明治38)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,597 字 · 57 页
「別にどこも……相変らずズキズキ疼くだけよ」
「どうかその、疼くだけでも早く医者の力で直らないものかねえ! あまり痛むなら、菎蒻でも茹でて上げようか?」
「なに、懐炉を当ててるから……今日はそれに、一度も通じがねえから、さっき下剤を飲んで見たがまだ利かねえ、そのせいか胸がムカムカしてな」
「いけないね、じゃもう一度下剤をかけて見たらどうだね!」
「いいや、もう少し待って見て、いよいよ利きが見えなかったら灌腸しよう」と下腹をさすりながら、「どうだったい、お仙ちゃんの話は?」
「まあ九分までは出来たようなものさ、何しろ阿母さんが大弾みでね」
「お母の大弾みはそのはずだが、当人のお仙ちゃんはどうなんだい?」
「どうと言って、別にこうと決った考えがあるのでもないから、つまり阿母さん次第さ。もっともあの娘の始めの口振りじゃ、何でも勤人のところへ行きたい様子で、どうも船乗りではと、進まないらしいようだったがね、私がだんだん詳しい話をして、並みの船乗りではない、これこれでこういうことをする人だと割って聞かしたものだから、しまいにはいろいろ自分の方から問いを出して考えていたっけ。