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せいしんあん

清心庵

泉 鏡花

「新著月刊」1897(明治30)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,494 字 · 26 页

青空文庫

え、千ちゃん、出来たのならそのつもりさ。お楽み! てなことで引退ろうじゃあないか。不思議で堪らないから聞くんだが、どうだねえ、出来たわけかね。」

「何がさ。」

「何がじゃあないよ、お前さん出来たのなら出来たで可いじゃあないか、いっておしまいよ。」

「だって、出来たって分らないもの。」

「むむ、どうもこれじゃあ拵えようという柄じゃあないのね。いえね、何も忠義だてをするんじゃないが、御新造様があんまりだからツイ私だってむっとしたわね。行がかりだもの、お前さん、この様子じゃあ皆こりゃアノ児のせいだ。小児の癖にいきすぎな、いつのまにませたろう、取っつかまえてあやまらせてやろう。私ならぐうの音も出させやしないと、まあ、そう思ったもんだから、ちっとも言分は立たないし、跋も悪しで、あっちゃアお仲さんにまかしておいて、お前さんを探して来たんだがね。

逢って見ると、どうして、やっぱり千ちゃんだ、だってこの様子で密通も何もあったもんじゃあないやね。何だかちっとも分らないが、さて、内の御新造様と、お前様とはどうしたというのだね。」

知らず、これをもまた何とかいわむ。

「摩耶さんは、何とおいいだったえ。