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せいしんあん

清心庵

泉 鏡花

「新著月刊」1897(明治30)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,494 字 · 26 页

青空文庫

」

「御新造さんは、なかよしの朋達だって。」

かくてこそ。

「まったくそうなんだ。」

渠は肯する色あらざりき。

「だってさ、何だってまた、たかがなかの可いお朋達ぐらいで、お前様、五年ぶりで逢ったって、六年ぶりで逢ったって、顔を見ると気が遠くなって、気絶するなんて、人がありますか。千ちゃん、何だってそういうじゃアありませんか。御新造様のお話しでは、このあいだ尼寺でお前さんとお逢いなすった時、お前さんは気絶ッちまったというじゃアありませんか。それでさ、御新造様は、あの児がそんなに思ってくれるんだもの、どうして置いて行かれるものか、なんて好なことをおっしやったがね、どうしたというのだね。」

げにさることもありしよし、あとにてわれ摩耶に聞きて知りぬ。

「だって、何も自分じゃあ気がつかなかったんだから、どういうわけだか知りやしないよ。」

「知らないたって、どうもおかしいじゃアありませんか。」

「摩耶さんに聞くさ。」

「御新造様に聞きゃ、やっぱり千ちゃんにお聞き、とそうおっしゃるんだもの。何が何だか私たちにゃあちっとも訳がわかりやしない。」

しかり、さることのくわしくは、世に尼君ならで知りたまわじ。