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せいぞうとぬま
清造と沼
宮島 資夫
「赤い鳥」赤い鳥社、1928(昭和3)年1月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,864 字 · 12 页
くるくると目のまわるようにできている、さんばそうの凧がありました。店の中に風が吹きこんで来るとたんに、さんばそうの目がくるりとひとつまわりました。清造は、「あっ」といって驚いて目をつぶると、いきなりまた、例の沼が目の前に浮かんで来たのです。そうして、大きな大きなあわがひとつぽっかりと浮かび上がったのを見たと思うと、清造にはなんにもわからなくなってしまいました。
「小僧、どうしたんだ。しっかりしろよ。」
遠いところで呼んでいるのが、だんだん近くなって来て、太い声が耳のそばでひびくのを聞いた時に、清造は、はっとわれに返りました。気がついてみると、それは凧屋の店の裏でした。台所のわきのせまい部屋にあおむけにねかされて、枕もとに、さっき店でみたおやじさんがすわっていて、そのうしろにはあかんぼうをおぶったおかみさんが、立っていました。
「どうした、気がついたか。」
ひげの少しのびたおやじさんが笑いながら聞きました。清造にはなんのことだかわからないので、やっとからだを起しながら、あたりをきょろきょろ見まわしました。
「はは、驚いているな。おまえはな、さっき店の前に立って、凧の絵を見ているうちに、ううんといってぶっ倒れてしまったんだ。