轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こはん

湖畔

久生 十蘭

「文藝」1937(昭和12)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,180 字 · 47 页

青空文庫

そのうちに庭に向いた硝子窓を開ける音がするから、猶予はならぬと、廊下にあった樫材の花台でドアの鏡板を打壊しにかかった。誰か後から抱きついて俺を引離そうとする。花台で頭を叩き割られなンだのがそいつの倖せだッた。

大荒れに荒れてドアを壊して部屋へ入ると、六枚折の屏風をひき廻した内側に明々と台ランプを点し、布団の上に括枕が二つ、枕元には燗徳利や小鉢まで置いてある。相手は窓から逃げたのだとみえて、窓際の畳の上に、白足袋と腰下げの煙草入が落ちている。足をあげて屏風を蹴倒すと、その蔭に、人形のように白くなった陶が諦めきったように坐っている。長襦袢の胸元がはだけて乳の上のあたりまで透け、丸い隆起にランプの光が斜に射しかけて、美事な影をつくっている。

俺の心の中で惹起ッた気持は、劣情と言おうか、嫉妬と言おうか、恍惚と言おうか、その三つが等分に入交ったようなとでも言ッたら、あたるかも知れぬ。しかし、それも一瞬のことで、俺の胸元に野蛮な激情が突っかけて来、束々と陶の傍へ行くなり、力任せに肩を蹴った。陶はアッと叫んであおのけに倒れ、腿脛も露わな前裾をつくろおうともせず、死んだようになって眼を閉じている。