轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆしまもうで
湯島詣
泉 鏡花
「湯島詣」春陽堂、1899(明治32)年11月23日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,004 字 · 122 页
」といい放って、竜田はその若々しい、美しい顔を仰向けて、腕組をした、毛糸の茶色の襟巻は端がほろほろと解けた。
その背を叩いて、
「江戸ッ児! 相変らず暢気なものだな、本人の神月は、君よりよっぽど訳が分ってるよ。だから心配をするんじゃあないか。」と穏に云いながら柳沢は老実々々しく、卓子の上に両方からつないで下げた電燈の火屋の結目を解いたが、堆い書籍を片手で掻退けると、水指を取って、ひらりとその脊の高い体で、靴のまま卓子の上に上って銅像のごとく突立った。天井はそれよりも遥に高いが、室は狭く、五人を入れて、卓子を真中に、本箱を四壁に塞いだ上に、戸の入口には下駄箱が竝んで、これに、穿物が脱いであるなり、衣服は掛けてあり、外套は下ってる。避て通らなければ出られないので、学士はその卓子越の間道を選んだので、余り臨機な働であったから、その心を解せず、三人は驚いて四方を囲んで、斉しく高く仰ぎ見た。ために国史専修の学士も、しばらく岩見重太郎に別れなければならず余儀なくされた。
柳沢は突立ったまま、
「おい、ちょっと退かないか。」
「何をする、」と哲学者は呆れ顔をしてほとんど問題を研究する時のように難しく眉を顰めた。