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ゆしまもうで
湯島詣
泉 鏡花
「湯島詣」春陽堂、1899(明治32)年11月23日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,004 字 · 122 页
故郷とは始終便をして、人のおもちゃになってる女に、姉上々々と書いたから、ああこんなことをするような身分ではないと知りながら、お前の手紙が来れば、様づけにして返事を出した、何も機嫌を取った訳でもなし、取入って色男になろうと思ったのでもない。
うわべはどうでも、理窟は知ってても、小児の内からの為来りで、本当に友達のようにも思い、世話になったとも思う上に、可愛い、不便だと思うから、前後も考えなかった。
お前を立派な女だ、姫様だ、女房さんだと心から思ってしたことだよ。僕はお世辞も何にも言わない。女は氏なくして玉の輿だから、どんな身分の人に姉さんといわれないとも限らぬが、そりゃ男の方から心を取って惚れさせようとか、気に入られようとかして、後じゃあ玩弄にするためだ。
可い餌をかって肥えさしてしめて食べようという、鴨と同じ訳じゃあないか。これが遊人とか、町内の若い衆とかいうなら知らず、ちったあ身分もあるものに本当に惚れられた芸妓といっちゃあ、まあ、お前一人だろうよ。
それを思出にして、後生だから断念めておくれ。神月は私の良人だったと、人にいっても差支えはない。