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まんがん
満願
在伊豆夏夜,太宰酒驾摔伤腿,被一个醉醺醺的医生边包扎边大笑。医生满口“善玉恶玉”的二元论,比哲学课还带劲。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,506 字 · 3 页
これは、いまから、四年まえの話である。私が伊豆の三島の知り合いのうちの二階で一夏を暮し、ロマネスクという小説を書いていたころの話である。或る夜、酔いながら自転車に乗りまちを走って、怪我をした。右足のくるぶしの上のほうを裂いた。疵は深いものではなかったが、それでも酒をのんでいたために、出血がたいへんで、あわててお医者に駈けつけた。まち医者は三十二歳の、大きくふとり、西郷隆盛に似ていた。たいへん酔っていた。私と同じくらいにふらふら酔って診察室に現われたので、私は、おかしかった。治療を受けながら、私がくすくす笑ってしまった。するとお医者もくすくす笑い出し、とうとうたまりかねて、ふたり声を合せて大笑いした。
その夜から私たちは仲良くなった。お医者は、文学よりも哲学を好んだ。私もそのほうを語るのが、気が楽で、話がはずんだ。お医者の世界観は、原始二元論ともいうべきもので、世の中の有様をすべて善玉悪玉の合戦と見て、なかなか歯切れがよかった。私は愛という単一神を信じたく内心つとめていたのであるが、それでもお医者の善玉悪玉の説を聞くと、うっとうしい胸のうちが、一味爽涼を覚えるのだ。