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げんぞうがはら

源蔵ヶ原

山本 周五郎

「週刊文春」文藝春秋新社、1962(昭和37)年12月17日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,843 字 · 28 页

青空文庫

者もなく、子供たちはわけもわからずに「げんぞっぱら」と呼んでいた。空地のほぼ中央にもちの木がひねこびたような枝を張り、その一方がちょっと低くなって、雨のあとなどには水溜りができ、夏から秋にかけて、蜻蛉がよく群をなして集まるのが見られた。

原へはいってゆく六人の足の音で、凍てた土がきしんだ。まもなく霜がおりるのであろう、空にある半月の光で、枯草の葉がきらきら光った。

「この辺でよかろう」と宗吉が云った。

かれらは立停り、泰二をとり囲んだ。

「泰二、わかっているだろうな」と宗吉が云った。

泰二はうなだれた、「約定のことならわかってる」

「ちょっと」と又次郎が口をはさんだ、「おれにもちょっと云わせてもらいたいんだが、昔の約定といっても、いまになってみれば子供っぽ過ぎると、泰二にだって口に云えないわけがあるんだろう、だから」

「子供っぽ過ぎるって」忠太がするどく反問した、「忘れたのか、おれたちのお光ぼうが身を投げて死んだんだぞ、子供っぽいもくそもあるか、人間ひとりが死んだんだぞ、いまになってくだらねえことを云うな」

泰二はそこへ坐った。固くなっていた