轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そうせきのじんぶつ
漱石の人物
和辻 哲郎
「新潮」1950(昭和25)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,438 字 · 23 页
いい文人画を見た記憶などを漱石はいかにも楽しそうに話した。それを聞いていて私は原三渓の蒐集品を見せたくなったのである。三渓の蒐集品は文人画ばかりでなく、古い仏画や絵巻物や宋画や琳派の作品など、尤物ぞろいであったが、文人画にも大雅、蕪村、竹田、玉堂、木米などの傑れたものがたくさんあった。あれを見たら先生はさぞ喜ぶだろうと思ったのである。
私はその話を漱石にしたように思う。そうして「それは見たいね」というふうな返事を聞いたようにも思う。しかしその点ははっきりとは覚えていない。覚えているのは漱石を横浜までつれ出すにはどうしたらよかろうと苦心したことである。あらかじめ三渓園の都合をきいて、日をきめて訪ねて行く、という方法を取るのでは、漱石はなかなか腰を上げないであろうというふうに感じた。それで、今から考えるとまことに非常識な話であるが、十一月の中ごろのあるうららかに晴れた日に、いきなり漱石をさそい出しに行ったのである。こんな日ならば気軽に出かける気持ちになるであろう、出かけさえすればあとは何とかなるであろう、と思ったのである。鵠沼から牛込までさそいに行ったのであるから、漱石山房へついた時にはもう十時ごろになっていた。