轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そうせきのじんぶつ
漱石の人物
和辻 哲郎
「新潮」1950(昭和25)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,438 字 · 23 页
玄関へ出て来た漱石は、私の突飛さにちょっとあきれたような顔をしたが、気軽に同意して着替えのために引っ込んで行った。
今の桜木町駅のところにあった横浜駅に着いたのは、もう十二時過ぎであった。そのころ私はナンキン町のシナ料理をわりによく知っていたので、そこへ案内しようかと思ったが、しかし文人画を見せてもらう交渉をまだしていないことがさすがに気にかかり、馬車道の近くの日盛楼という西洋料理屋へはいって、昼食をあつらえるとすぐ三渓園へ電話をかけた。ちょうどその日に何か差支えでもあれば、変な結果になるわけであったが、その時には私はその点を少しも心配していなかったように思う。電話では、喜んでお待ちするとの返事であった。で私は、自分の突飛さをほとんど意識することなしに、自分の計画の成功を喜びながら、昼食をともにしたのである。
私はその日、のりものの中や昼食の時などに、漱石とどんな話をしたかをほとんど覚えていない。ただ一つ覚えているのは、市電で本牧へ行く途中、トンネルをぬけてしばらく行ったあたりで、高台の中腹にきれいな紅葉に取り巻かれた住宅が点在するのをながめて、漱石が「ああ、ああいうところに住んでみたいな」