轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひのとり

火の鳥

太宰 治

「愛と美について」竹村書房、1939(昭和14)年5月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,740 字 · 76 页

青空文庫

東京は、いそがしくて、もう、そんなこと忘れたような顔していて呉れるけど、田舎は、うるさい。あの子は、きっと座敷牢よ。一生涯、村の笑われもの。田舎の人ったら、三代まえに鶏ぬすまれたことだって、ちゃんと忘れずに覚えていて、にくしみ合っているんだもの。」

「ちがう。」高須は、落ちついて否定した。「ふるさとは、そんなものじゃない。肉親は、そんなものじゃない。僕は、ふるさとを失った人の悲劇を知っている。乙やんには、ふるさとが無かった。君も、ごぞんじだろうと思うが、乙やんは、僕の伯父の、おめかけの子だ。生みの母親と一緒に転々した。それは苦労した。僕は知っている。あの人は、偉くなることに努めた。自分を捨てた父親を、見かえしてやろうと思っていた。ずば抜けて、秀才だった。全く、すばらしかったなあ。勉強もした。偉くならなければいけないと思っていたのだ。歴史に名を残そうと考えた。けれども、矢尽き、刀折れて、死ぬる前の日、僕に、親孝行しろ、と言った。しのんで、しのんで、つつましく生きろ、と言った。僕は、はじめ冗談か、と思った。けれども、このごろになって、あ、あ、と少しずつ合点できる。