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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

それから四五秒後に、轟然たる音響と共に、宇宙艇の腹部が砂原に接触した。これこそ、記録すべき火星着陸の瞬間だった。

「開放……」

エンジンは外された。弾力はまだ残っていた。宇宙艇は沙漠のまん中を、濛々と砂煙をあげてなおも滑走した。

が、何が幸いになるか分らないもので、この沙漠着陸のおかげで、宇宙艇の尾部における火災が俄かに下火となった。

感激の乗組員

滑走すること約三千メートルで宇宙艇はやっと停止したのだった。

全員は、おどりあがって歓呼の声をあげた。誰の目からも、よろこびの涙があふれて頬をぬらしていた。そうでもあろう。火星への大航空が遂に自分たちの手によって完成したのである。乗組員はわずか十名たらずの少人数で、この困難な大事業を見事にやりとげたのであった。生命の危険にさらされること幾度か。それを切抜けることができたのは全くふしぎでならぬ。いや、これこそ全員が、互に助けあい、自分の勝手を行わず、指揮者デニー博士の命令に従い、すこしも乱れることなく組織の最高能率を発揮した結果に外ならないのだ。

そして友を救おうとして、自分を救うことにもなったのだ。