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ひなわじゅう

火縄銃

江戸川 乱歩

「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,117 字 · 19 页

青空文庫

「アッハハハハハ」

と笑い出した。

私は何が何やらさっぱり分らず、狐につままれた形でボンヤリ橘の顔を眺めていた。ひょっとしたら林の急死で、頭がどうかなったのではあるまいかと私は疑ってみた。

「田舎の刑事にしては、素早く立ち廻ってよく調べている様だったが、この事件は、詮穿好きの田舎探偵には少し簡単すぎる様だ。そうだ、全く単純過ぎる位単純な事件なんだ――」

橘が猶も語り続けようとした時、ボーイに案内されて今噂していた、その橘の所謂田舎探偵がヒョッコリやって来た。

「先程は失礼、一寸お訊ねし度い事がありましてね」

探偵が挨拶した。

「イヤ、如何です、二郎君は自白しましたか」

私が斯う聞くと、刑事は嫌な顔をして、

「それをあなた方に言う必要はありません」

と空嘯いた。

「それじゃ、何の用で来たのです」

「あの時の模様を、もう一度詳しく聞き度いと思うのです」

刑事がそう言って私に詰寄ると、傍から橘が片頬に皮肉な、又得意そうな得態の知れぬ笑いを泛べて刑事に報いた。

「詳しくお調べになる必要はないでしょう」

この侮蔑したような言葉は、明かに刑事を怒らせた。

「ナニッ? 調べる必要がないとは何です。