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ひなわじゅう

火縄銃

江戸川 乱歩

「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,117 字 · 19 页

青空文庫

「それは申上げられません。又申し上げる必要もないと思います」

「失礼ですが、あなた方は真実の御兄弟でしょうね」

そう言った刑事の顔には、皮肉な微笑が泛んでいた。

「いいえ、そうじゃないんです」

それから猶いろいろの訊問があったり、警察医の検死があったり、部屋の内と外の現場調べがあったりしたが、その揚句、二郎は遂に其場から拘引される事になった。

その夕方、橘と私とは同じホテルの一室で互に向い合っていた。死体の後始末や何かの為め私達はホテルに残っていたのだ。

「君は暫く姿が見えなかったが、何所かへ行っていたのかい?」

先ず私が口を切た。日頃探偵狂の橘が、こんな事件にぶッつかって安閑としている筈がない。永い間姿を隠していたのは、その間に何か真相を発く手掛を掴んだのか、或は証拠がための為めに奔走していたに違いないと思ったので、私は橘の探偵談を聞き度くて、話をその方に向けてみたのだ。とは言うものの、私は真面目に橘の名探偵振りを拝聴しようと思ったのではなく、こんな極まりきった殺人事件を、探偵狂の橘がどう勿体つけて説明するか、それが実は聞き度かったのである。すると、橘は突然大きな口を開けて、