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かそうこくふうけい

火葬国風景

海野 十三

「帝都日日新聞」1935(昭和10)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页

青空文庫

彼は、上下の歯をギリギリと噛み合わせた。

思いあたる怪夢

所もあろうに八十助は、自分自身を、焼場の火葬炉の中に発見したのだった。

(生きながらに焼き殺される!)

ああ、何という恐ろしいことだ。生きていると気がついて悦んだのも束の間、次の瞬間、身に迫って来たものは、生きながらの焦熱地獄だった。死んで焼かれるのなら兎に角、生きながら焼き殺されるなんて、そんなむごいことがあろうか。八十助は焔が手足をいぶらせ焔が毛髪にメラメラ燃え移る場面を想像した。――彼は当てのない呪いの言葉を口走った。

「ククククッ――」

どこからか忍び笑いが聞えて来た。その声には充分――聞き覚えがあった。彼奴だ! 鼠谷仙四郎奴が笑っているのだ。それを合図のように、火は一きわ激しくドンドンと燃えさかった。

「うぬ、悪魔奴! 悪魔奴!」

彼は動けぬ身体を、自暴に動かした。そのために、身体を堅く縛っている麻縄が、われとわが肉体に、ひどく喰い込んだ。もうこうなっては、麻縄のために、手首がちぎれて落ちようと、太股がひき切られようと、そんなことは問題外だった。身体の一部分でもよいから、自由になりたい。