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かそうこくふうけい
火葬国風景
海野 十三
「帝都日日新聞」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页
そして間もなく、シュウ、シュウという音響が聞えて来て、青い光芒が棺の隙間から見えた。
「クックックッ」
「はッはッはッ」
人を馬鹿にしたような高い笑声が、棺の外から響いて来た。八十助はハッと身を縮めたが、次の瞬間、ベットリと冷汗をかいた。どうやら棺の外からX光線をかけたものらしい。X光線をかけると、棺の中は見透しだった。彼が生きて藻掻いているところも、骸骨踊のように、棺外の連中の眼にうつったことであろう。それで可笑しそうに笑ったのに違いない。
「おうーい、甲野君。聞えるかネ」
と鼠谷のしゃ枯れ声がした。
八十助は石亀のように黙っていた。しかし彼の伸縮している心臓だけは、どうも停めることが出来なかった。八十助は結局、嘲笑を甘んじて受けつづけねばならなかった。
「……むろん聞えているだろうネ。もう暫らくの辛抱だ。しっかりして居給え」
なにを云っているんだい――彼はムカムカとした。
(どうなと勝手にしろ!)
彼は一切の反抗と努力とを抛棄した。もうこうなっては、藻掻けば藻掻くほど損だと知った。そう諦めると、俄に疲労が感じられた。ゴトゴトと棺桶はまた揺ぎ、そしてまた別な乗物にうつされた。