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かそうこくふうけい
火葬国風景
海野 十三
「帝都日日新聞」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页
それがわれわれの普段見慣れたものと全く違い、直線で囲まれた真四角いものではなく、すべて曲線で囲まれていたのであった。又その形が何とも云えない奇妙なもので、一目見てゾッと寒気を催したほどだった。それに、建物の色が、やはり狐色で、塔のような形の先端は血のように紅く彩られていた。それがまた不思議な力で、八十助の心臓に怪しき鼓動を与えたものである。
(これア一体、どこへ来たのだろう?)
どうも日本とは思われない。と云って、それほど遠くへ来たようにも思わない。
「どうじゃ、気がついたかの?」
と白い美髯の肥満漢が声をかけた。
「はッ――」
と八十助は、彼の顔を見た。そのソーセージのようないい色艶の顔を眺めていたとき、八十助は始めて、さっきから解きかねていた謎を解きあてて、愕きの叫び声をあげた。
「あッ――」
「甲野君、一つ御紹介をしよう」
と鼠谷仙四郎がすかさずチョロチョロと前に進み出でた。
「こちらは一宮大将でいらっしゃる」
「やっぱり一宮大将!」
一宮大将といえば、あの新宿の夜店街で、飾窓の中に黒枠づきでもって、その永眠を惜しまれていた将軍のことではないか。そういえば、大将の美髯は有名だった。