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かそうこくふうけい
火葬国風景
海野 十三
「帝都日日新聞」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页
「鼠谷仙四郎なら、生きている筈がない!」
八十助が顔の色を変えたのも無理はなかった。なぜなれば、いまから二三ヶ月ほど前、彼はハガキに印刷した鼠谷仙四郎の死亡通知を受取ったことを思い出したからだ。なぜそのような重大なことを度忘れしていたのだろう?
その文面には、たしかに次のような文句があったと思った。
「……鼠谷仙四郎儀、療養叶わず、遂に永眠仕候間、此段謹告候也。
追而来る××日×時、花山祭場に於て仏式を以て告別式を相営み、のち同火葬場に於て荼毘に附し申可く候……」
この文面から推せば、彼はたしかに病気で死亡し、その屍体はたしかに火葬せられたのだった。しかも皮肉なことに、彼が生前世話を焼いていた花山火葬場の罐の中で焼かれ、灰になってしまった筈だった。尤も稀には死人がお葬の最中に甦って大騒ぎをすることもないではないが、それは極めて珍らしいことで、もしそんなことがあれば、鵜の目鷹の目で珍ダネを探している新聞記者が逸する筈はなかった。しかし最近の新聞記事にはそんな朗かな報道がなかったことから推して、かれ鼠谷の死体は順調に焼場の煙突から煙になって飛散したに違いあるまい。