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かやくせん

火薬船

海野 十三

「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页

青空文庫

「おい、この倉庫は、閉めるから、出る者は今のうちに皆出てこい」

倉庫の中は、もうほとんど一杯だったので、皆は、他の倉庫へ、陸揚の貨物をはこんでいた。残っていたのは、後片附けと見張りのノーマ号の船員数名だけだった。

船長ノルマンは、倉庫の入口を自らぴたりととじると、大きな錠をかけた。その鍵は、彼のポケットへ――。

「なにを、ぼんやりしとる。ぐずぐずしていると、もうすぐ夜明けになるじゃないか。はやくむこうへいって、手伝え」

ノルマンに、口汚くしかられて、船員たちはあわてて、別の倉庫の方へかけ出していった。

瀕死のハルクは、ただ一人、とうとうこの倉庫のおくに、とじこめられてしまった。まったく同情に値することだった。このうえは、サイゴン警視庁の活動をまつよりほかないが、まだむこうでは、モロ警部の遭難さえ気がつかない様子だ。

それから、小一時間ほどたってから後のことだった。巨人ハルクのとじこめられた倉庫の、通風窓にはめられてあった鉄格子が、きいきいとおとをたてはじめた。

きいきいという音は、しばらくすると、ぱたりと止み、それからまたしばらくすると、きいきいと高いおとを立てはじめる。