轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えぼしだけのちょうじょう

烏帽子岳の頂上

窪田 空穂

「早稻田文學 第二百三號」早稻田文學社、1922(大正11)年10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,432 字 · 15 页

青空文庫

堀君は、岩の絶頂の、僅かに尻を据えうるような所に馬乗りになって、例の微笑をたたえていた。

私たちは、下りはちがった面を取った。上るとしては、前の面よりも困難に見えた。

露営地へ帰って来ると、一切の荷造りは出来て、人夫は待ちくたびれたような顔をしていた。今一つのテントを使っている学生の一組は、学生も人夫ももう見えなかった。

案内は腹掛から時計を出して見た。

「ちょうど一時間半かかりました。」そう云って、案外時間のかかったのがおかしいように微笑した。

「よかったよ、」と私は横山君と本居君とに、一しょに行かなかったのを惜しむ心で云った。そして本居君に、「君の槍が岳のようだって云った、あれが烏帽子岩なんだ。」

荷を背負いながら、それを聞いた案内は、

「知らない方は、大抵あの前の山で帰ってしまいます。――この人夫だって、行った者はないでしょう、」と云った。

一行は一列になって歩み出した。向って行く山の、朝の光に輝いているのを見ると、心のすべてがそちらへ流れ出すのであった。