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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

「あら、そんなうそをいうの、あたしいやだわ」

「おい房枝、なにをいっているのだ。にせ病気なんかつかわないで、お目にかかったらいいじゃないか」

「でも、でも団長さん!」と、房枝は、黒川の方に深刻なまなざしをむけた。

黒川は、房枝の目をみてうなずいた。

(そうか、そうか。あの一件のことを苦にやんでいるのか。むりもない)

団長は、房枝が、今夜の呼び出し事件のことでおびえており、だれにもあいたくないんだろうと察した。

「おいスミ枝、房枝のいうとおりにしなさい」

「え、ことわってしまうんですか。あら、おかしいわね。御祝儀がいただけるのに、房枝さんは慾がないわねえ」

「こら、なにをいう。スミ枝、早くそういってくるんだ」

と、団長が叱りつけたので、スミ枝はあわてて、そこを出ていった。

「団長さん、あたし、もうこの仕事を、やめたくなりましたわ」

「なにをいうんだ。気のよわい。このミマツ曲馬団は」

などと、黒川が歴史などをもち出して、房枝をはげましていると、そこへまたスミ枝がかけこんできた。

「あ、房枝さん。たいへん、たいへん」

「まあ、どうしたの、スミ枝さん。たいへんだなんて」

「だって、たいへんよ。