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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
はあ、大至急でございます。いえ、会社のことではなく、わたくしごとでございますが、いつやら、ちょっとお話しました娘さんのところへ、ただ今、いっておりましたのですが、今日はどういうものか、娘さんのようすがへんなのでございます、なにか、あの娘さんの身の上に、危難があるように感じましたの。道々考えてまいりましたんですが、たいへん気になって、しようがございません。それで、相談にのっていただきたいのでございますが、すぐ宅まで」
縁は、目に見えないが、常に行いのうえにあらわれる。夫人は、何ごとも知らずに、房枝あやうしと感じて、帆村探偵の力をもとめたのであった。
ネオン・ビル前
その夜のことだった。
東京駅の大時計は、すでに午後十一時一、二分、まわっていた。
そのとき、あたふたと、改札口から駅前へとびだしてきた二人の男女があった。
「やあ、おそくなったぞ。一電車おくれてしまったので、これはもう十一時をすぎてしまった。ねえ房枝、大丈夫だろうか」
「そうねえ」
その話でわかるように、男は、新興ミマツ曲馬団の新団長黒川であり、また女は、花形の房枝であった。
この二人は、例の脅迫状の差出人たる謎の人物バラオバラコによび出されて、やってきたのであるが、一、二分はおくれたが、ともかくも、今東京駅についたのであった。