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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

が、そこでターネフは、またハンドルを右に切りかえたので、車は歩道の上へのりあげたものの、がたと一ゆれしてうまく、道路の上にもどることが出来た。

房枝は、そのさわぎをよそに、今しも車輪にかけられそうになった格闘中の二人の男に、全身の注意力を送った。

道のまんなかで、組打をやっているのは、たしかに帆村とトラ十だった。トラ十の顔がぱっと、こっちを向いたことをおぼえている。トラ十はそのとき、ひじょうに驚いた顔つきになって、なにごとかわめいた。だが、何といってわめいたのやら、房枝には、もちろん聞えなかった。

「あっ、あいつ等だ。あいつ等、うごけないはずだ。ど、どうして」

と、そのときトラ十は叫んだのであった。そのとき、下に組しかれていた帆村が、えいと気合もろとも、トラ十のからだをはねのけた。房枝はそこまでは、はっきりと見た。自動車が走りさると、道路の上は、まっくらになってしまって、その後、二人の勝敗がどうなったか、ざんねんながら、房枝はしることができなかった。

ターネフ邸にて

自動車がついたのは、一軒のりっぱな洋館であった。その間も黒川は、なにかさかんにわめいていたが、舌がもつれていて、何をいっているのかさっぱりわけがわからなかった。