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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

深夜の研究をつづけている彦田博士のそばには、その花籠が飾られてあるのであった。

房枝は、そんなことは知らず、ただもう夢中でよろこんでいたが、彼女のうしろには、まっ黒な悪魔が立っているのだ。

「おいおい、誰じゃ、そこにいるのは」

眠っているとばかり思ってた黒川団長が、いつの間にかベッドの上に目をあいていた。房枝とスミ枝は、涙をそっと拭いて、黒川の枕許に近づいた。

「ああ、房枝か、もう一人は、スミ枝だな。ここはどこだろうね」

「ターネフさんのお邸ですわ」

「なに、ターネフさんのお邸? はてな、ターネフさんが何か重大な事件が起るといっていたのを、おれは耳にしたんだが、あれはどんな事件だったかしらんか」

「え、重大事件とは」

「ええと、待てよ。そうそう爆薬を仕掛けた花籠を、都下各生産工場へくばって、今夜何時だかに、一せいに爆発させるとか」

「ええっ、黒川団長。もっとくわしく聞かせてください」

そこで黒川は、はからずも、ターネフたちの会話を耳にした話を、房枝たちにしておどろかせた。しかしかんじんの爆発時刻が、いつだったか、黒川は思いだせないのであった。午後五時だったか、八時だったか、それとも九時だったか。