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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
しかし、とにかく時刻は切迫していることだし、事件が事件だから、すぐその筋へしらせなければたいへんであったから、黒川団長は重態の身をもかえりみず、房枝とスミ枝とを急がせて、ひそかにターネフ邸をぬけだしたのであった。
爆発の予定時刻は、午後九時だった。ターネフ首領たちは、その時刻、全市に捲きおこる連続爆音と天に冲する幾百本の大火柱を見んものと、三階の窓ぎわで酒をのみながら、時刻の来るのを、たのしげに待っていたのである。
大団円
正確にいうと、午後九時一分前だった。
極東薬品工業株式会社の、社長研究室の入口の扉を蹴やぶるようにして、中へとびこんできたものがあった。
今夜は、めずらしくも、博士夫人道子が同じ室にいて、博士の仕事の終るのを待って、編物をしていた。夫人がびっくりして立ち上った。
「まあ、あなたは房枝さん」
とびこんできたのは房枝だった。髪はふりみだれ、顔は火のように赤く、胸は波をうっていた。
「花籠は? あっ、そこにあるのが、そうですね」
房枝は、卓子の上においてあった、例の花籠を見つけると、走りよって小脇に抱えた。
「あら、房枝さん」
「この花籠は、あと二、三十秒で爆発するのです」