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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
「何度でも申しますが、大丈夫ですとも。彦田博士の発明した新X塗料は、十分信用してもいいのです。私は、この実験にも度々立ち合い、それが爆薬にはたらいて、無力にしてしまうところを、十分に見て知っています。だから心配なしです。今度こそ、彦田博士の新発明の爆発防止塗料が、いかにすばらしい力をもっているかを証明する大がかりな実験日ですよ」
「そうね、とにかく、もうすぐ午後九時がくる。しかし万一博士の塗料が効目がなくて、都下の生産工場が一せいに爆発したとしたら、僕たちは申訳に切腹しても、追いつかないよ」
「大丈夫ですよ。科学の力を信じてください。ほら、もう九時を過ぎましたよ。一分過ぎになりました。どこからも、爆発の音がきこえてこないではありませんか」
「なるほど、定刻を一分以上すぎた。これは妙だ。君のいうとおりだ」
といっているとき、夜の静寂を破って、どどーんの一大音響が聞え、愛宕山が、地震のように動いた。それと同時に、山手寄りの町に炎々たる火柱がぐんぐん立ちのぼって、天を焦がしはじめた。
検事は、顔の色を失った。
いや、総監はじめ、山上につめかけていた係官たちは、一せいに立ちすくんだのであった。