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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
た。
房枝は、だまって、丸窓をはなれた。そして、指さきで涙をちょっとおさえて、ばたばたと食堂の方へかけだしていった。
「ちえっ、あいつめ、十五になって、いやになまいきな女になりやがった」
と、トラ十は、房枝のあとを見送り、きたないことばを吐いた。
だれかが寝台のうえから、ハーモニカをふきはじめた、調子はずれのばかにしたような、間のぬけたふき方であった。
トラ十は、目をぎろりと光らせて、その方へ、ぐっと太いくびをねじった。
「ハーモニカを、やめろ! 胃袋に、ひびが入らあ」
曾呂利青年
房枝が、三等食堂へ、いきつくかいきつかないうちに、がらんがらんと、食事のしらせが、こっちの船室まで、きこえた。
トランプをしていた者は、トランプを毛布のうえにたたきつけ、古雑誌を読んでいたものは折目をつけてページをとじ、いずれも寝台からいそいでとび下り、食堂の方へ走って行った。団員の娘たちは、あとで、いたずらをされないように、編物の毛糸を、そっと毛布の下にかくしていくことを忘れなかった。
一番あとから、この部屋を出ていった顔の青い若者があった。彼は、すこぶる長身であったが、松葉杖をついていた。