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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
正式の団員でもない野郎の世話なんかすると、このおれさまが、だまっちゃいないぞ!)
と、今日も、朝っぱらから、トラ十は、船室で、ほえたてていた。
たしかに正式の団員ではなかったが、この気の毒な曾呂利に、房枝は、同情をよせていた。そばで、トラ十の雑言をきいている房枝の方が、腹が立って、しらずしらず顔が青くなるほどだった。
曾呂利が、一つ男らしく立って、口先だけでも、トラ十をがーんとやりかえすといいと思うのだったが、曾呂利本馬は、いつも無口で、小学一年生のように、えんりょぶかく、よわよわしい性格のように見え一度もやりかえしたことはなかった。
房枝は、ふんがいのあまり、こっそりと、本馬にいうときがあった。
(ねえ、曾呂利さん。あたしには、あんたがどうしても、弱虫に見えないの。男なら、なぜ一つ、思いきり、きびしく、いってやらないの。あんた、わざと、強いのをかくしているんじゃない?)
と、ませた口で、年上の青年をなじると、曾呂利青年は首をふって、
(いやいや、僕は、だめですよ。悪口をいわれても、仕方のない人間なんです。ほうっておいてください)と、目を伏せていう。