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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

の受取りは、非常に注意深くやってもらいたいと要求した。そこで日本側でも特に気をつけて、この件を検察庁長官の手にうつした。そして長官は更に注意深くこのことを取扱って、一般には目立たないように私立探偵帆村荘六をえらんで、これに重大使命をせおわせたのであった。

帆村探偵は、この重大任務に感激し、命を的に、苦労を重ねて、ついにこれを手に入れ、ここまで持って帰ったのである。彼は、その塗料をながい間、自分の足にまきつけその上を繃帯し、あたかも、足に大怪我をしているように見せかけていたのであった。いよいよ横浜入港も近くなったので、彼は、繃帯を外し、貴重なるX塗料を箱の中に入れかえた。そして雷洋丸の爆沈事件のときも、彼は命にかえて、この箱を後生大事に守って、ここまで無事に持ってきたのである。

このように貴重な、そして極秘のX塗料の入った箱を、とうとうトラ十が、目をつけてしまったのである。

陸ならば、まだ逃げる余地があろう。またこれが雷洋丸の上であれば、なんとか身をかわすこともできようが、ここは、ひろびろとした洋上をただようせまい和船の中である。助けを呼ぼうにも、附近には誰もいない。