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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

海へとびこめば、こんどこそ、帆村の命は、まず無いものと思わなければならない。

このままでは、トラ十は、箱をひったくって、中をあらためるであろう。しかしトラ十には、これが、そんなに貴重なものとはわからないから、中身をあらためると、なんだ、こんなきたならしいものと、海中へ捨ててしまうかもしれない。そんなことがあればたいへんだ。帆村探偵のこれまでの苦心も水の泡だ。

ああ帆村探偵は、いかにして、このX塗料を守るであろうか。

洋上の死闘

「早くその箱をこっちへ出せ。なにをぐずぐずしとる!」

トラ十は、こわい顔をしてどなった。

帆村探偵は、進退極まった。

「なぜ、出さん。命の恩人たるおれの命令に、そむく気だな。よーし、お前がそういうつもりなら、早いところ、片をつけてやる。かくごしろ」

言下に、トラ十の手に、きらりと光ったものがある。

「あ、ピストル!」

「そうだ。お前の命はおれが助けた。この船に、助けてやったからなあ。ところで、お前は、おれのいうことを聞かない。そういう恩知らずのお前なんぞを、これ以上、だれが助けておくものか」

トラ十は、ピストルの狙いを定めた。