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かわ
牛をつないだ椿の木
新美南吉『牛をつないだ椿の木』。同一底本的分册已合并为一书。收入:川、張紅倫、久助君の話、正坊とクロ、嘘、病む子の祭、うた時計、和太郎さんと牛、屁。
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 75,647 字 · 155 页
三
戦争がおわって、少佐も内地へかえりました。その後、少佐は退役して、ある都会の会社につとめました。少佐は、たびたび張(ちょう)親子を思い出して、人びとにその話をしました。張親子へはなんべんも手紙を送りました。けれども、先方ではそれが読めなかったのか、一どもへんじをくれませんでした。
戦争がすんでから、十年もたちました。少佐は、その会社の、かなり上役(うわやく)になり、むすこさんもりっぱな青年になりました。紅倫(こうりん)もきっと、たくましいわかものになったことだろうと、少佐はよくいいいいしました。
ある日の午後、会社の事務室へ、年わかい中国人がやってきました。青い服に、麻(あさ)のあみぐつをはいて、うでにバスケットをさげていました。
「こんにちは。万年筆いかが」
と、バスケットをあけて、受付の男の前につきだしました。
「いらんよ」
と受付の男は、うるさそうにはねつけました。
「墨(すみ)いかが」
「墨も筆もいらん。たくさんあるんだ」
と、そのとき、おくのほうから青木少佐が出てきました。
「おい、万年筆を買ってやろう」
と、少佐はいいました。
「万年筆やすい」