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うしをつないだつばきのき
牛をつないだ椿の木
「少國民文化」1943(昭和18)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,096 字 · 19 页
これをやらんかや。」
といいました。海蔵さんは、昨日まではよく源さんと、それをやったものでした。二人で競争をやって、受けそこなった数のすくないものが、相手に別の菓子を買わせたりしたものでした。そして海蔵さんは、この芸当ではほかのどの人力曳きにも負けませんでした。
しかし、きょうは海蔵さんはいいました。
「朝から奥歯がやめやがってな、甘いものはたべられんのだてや。」
「そうかや、そいじゃ、由さ、やろう。」
といって、源さんは由さんと、それをはじめました。
二人は色とりどりの金平糖を、天井に向かって投げあげてはそれを口でとめようとしましたが、うまく口にはいるときもあれば、鼻にあたったり、たばこぼんの灰の中にはいったりすることもありました。
海蔵さんは、じぶんがするなら、ひとつもそらしはしないのだがなあ、と思いながら見ていました。あまり源さんと由さんが落としてばかりいると、「よし、おれがひとつやって見せてやろかい。」といって出たくなるのでしたが、それをがまんしていました。これはたいへんつらいことでありました。
はやく、お客がくればいいのになあ、と海蔵さんは眼をほそめて明るい道の方を見ていました。