轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぎゅうにゅうとうま
牛乳と馬
豊島 与志雄
「思索」1949(昭和24)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,248 字 · 25 页
けれど、一度も、言葉を交わされたことはなかったらしい。
けれど、わたしはお姉さまを見張っていたわけではない。とんでもないことだ。その上、わたしはなかなか忙しかった。牛乳でいろいろなお料理を拵えなければならなかった。バタのお料理がいちばんよいそうだけれど、お姉さまはもうバタの味に飽き飽きして、せいぜい牛乳のお料理だけしか上らないし、このお料理がまた厄介なのだ。そのほか、こまこました御用がたくさんある。お姉さまの食器やなにかは、用心のため消毒しなければならない。野島先生が週に二回いらして、お姉さまにいろいろな注射をなさる。時には見舞客もある。お母さまは体が肥っていて、あまりお動きなさらないので、わたしがくるくる働くのである。
お三時に牛乳を飲んでいると、お姉さまはふと手を休めて、お言いなさった。
「この牛乳、少し馬くさくありませんか。」
わたしはくくくと笑った。ところが、お母さまは真面目にお答えなさる。
「そうねえ、馬くさいのかしら。」
お姉さまも真面目に考えていらっしゃる。
わたしは笑いを殺して言った。
「だって、馬に乗せていらしたんですもの。お嫌だったら、わたくし、これから取りに行っても宜しいわ。