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ぶつりてきくうかんのせいりつまで
物理的空間の成立まで
戸坂 潤
(カントの空間論)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,996 字 · 61 页
赤の視覚は赤くないと云われるようにかかる純粋形像としての空間は色を含まない。視られた物体の表面はこの純粋な形の直観に色の感覚が加わったものと考えねばならぬ。かく云うと直観されるものは視覚であり又空間であるという不当な結論に来るかのように見えるが併し直観なるものの一般的な特質は直観するということが直ちに直観されるということに結び付く点になければならぬ。視覚が直観されると云うも直観するものが視覚の外に立つのではない、空間の直観は依然視覚の内になければならぬ、而もそれは単なる視覚を超えて直観するものでなければならぬ。視覚が直観されるとはかく直観することを意味する。そしてその対として空間が直観されるのに外ならない。又単に視覚が直観されるということから如何にして直ちにそれを空間の直観と云い得るかという疑問もあるかも知れないが、吾々は今空間を演繹しているのではなくして空間の直観としての特質を吟味しているにすぎない。空間は始めから予想されているのである。空間の直観はこのような根拠に於て感覚を超越し、Sehensakt そのものを直観することによって直観された空間を成立させる処の(何となれば直観するとは直観されることであるから)ものに外ならない。