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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
室生犀星『犀星王朝小品集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:荻吹く歌、舌を噛み切った女、玉章、津の国人、野に臥す者、花桐、姫たちばな。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 页
」
「なりませぬ。」
「そのように言わずに頼む、十年の間耐えていた。」
「…………」
「ただのいちどでよい、いちどで。」
「なりませぬ。」
「手をついて頼む。」
「どのように言わしてもいやじゃ。」
「何としても反かしゃるか。」
「頼む、去んでくれ。」
「去なぬ。」
「去ないでどうする。」
「そなたに思いを遂げるのだ。」
「あたしでも女ぞ、たやすくは、させない。」
すては、痒い髪を掻いて見せた。その二の腕は噛みつきたいほど、ふくれて白がこぼれた。すての顔色は驚きも怖れもみせずに、貝ノ馬介が見つめるままの生ぐさい、色気のあるものであった。馬介はずっと近づくといきなりすての手を取り、そばに引き寄せた。すてどの、かくごはしているなと、貝はがらにもなく優しく言った。いや、心は決めていない、貝どのがどんなふうに出て来るかを見極めているのだといった。貝は、すての裳に手をかけそれをかかげようとしたが、すては一気に鋭く払い退けた。ふたたび貝がそれを繰り返した時に、すては貝の手の甲をはたいた。貝はおとなしく手を引きこめると、こんどは肩をこうとし、それも、すてによってはずみが食わせられた。すてどの、おれに狼の名を著せぬよう承知してくれと、貝は拝むような眼附でそう言ったが、すては、ではあたしにも恥を掻かさないでいただけで帰ってくれ、貝どのの命にかかわる