轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はんにん

犯人

坂口 安吾

「群像 第八巻第一号」1953(昭和28)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,695 字 · 26 页

青空文庫

彼が去る前に、警部は例のトランプを取りだして、

「ちょッとこのトランプのことですが、これはお宅のですか」

「いいえ。僕のところにトランプはなかったと思います」

人見が去ると、毛里が目を怒らせた。

「奴が自殺でもすると、あんたの責任ですぜ。うんと叩いてやるから」

警部はそれに答えなかった。

まもなくフシギなことが起った。トランプがいつの間にやら紛失してしまったのである。犯人が人見である場合には、それが唯一の物的証拠であった。一同は血眼で探した。しかし、どこにも見当らない。その最中に、花井と平戸先生が喚ばれてきた。昨夜の対決の様子を念のため証言してもらうためであった。

トランプの紛失ときいて、平戸先生はふと何事か気がついた様子であった。

「ハートのクインでしたかしら?」

誰にともなくふと訊いた。警部はそれを聞きもらさなかった。

「そうです。ハートのクインです。何かお心当りがあるようですね」

「いえ、つまらないことなんです」

平戸先生はあからんで弁解した。

「子供の詩を思いだしたのです。仁吉という子の六年の時の詩だったと思いますが、校友雑誌にのった詩があるのです。