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はんにん

犯人

坂口 安吾

「群像 第八巻第一号」1953(昭和28)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,695 字 · 26 页

青空文庫

「なぜか」

「重要なことではないと思った」

「勝手に屍体に着物をかぶせたり、落ちたトランプを投げすてたりして、現場の様子を変えたことが重要だと思わないのか」

(無言)

新聞記事の一問一答はこれで終っていた。このあとに附言して、当局はこれについて追求するものと思われる、とあった。決定的な容疑者扱いであった。

毛里記者が一問一答しているときは、こうではなく、村ではこんなことを言ってる者があるが、まさかあなたが犯人だなぞとは誰も思ってやしません、まア笑談のつもりで御返事下さい、というような打ち解けた素振りであった。

人見ははかられたと思った。ワナに落ちた狐のように顛倒した。逃れる道がないように思った。

★

ただちに逮捕拘引されるかと思ったのに、まる三日間は全然音沙汰がなかった。それがかえっていけなかった。影に怯えて、半病人であった。

四日目に刑事が礼をつくして彼の指紋をとりにきたが、彼の心には無実の人の自信や平静さが全く失われて、ジリジリと追いつめられる真犯人の焦りが彼の心境にほかならなかった。

大都会の老練な刑事なら、真犯人というものはかえって平然と空とぼけて見せるものだ、こんなに度を失って逆上しているのは無実のせいだ、ということを見てくれたかも知れないが、田舎の刑事はそれをアベコベに判断して、