轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
「改造 新年号 第十八巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>「改造 七月特大号 第十八巻第七号」1936(昭和11)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 页
七時半だ、―――と思うと、彼は誰かに突き飛ばされたように腰を浮かしたが、二た足三足行ってから引っ返して来て、まだ大事そうに懐に入れていた筍の皮包を取り出すと、それを木戸口や、五味箱の上や、彼方此方へ持って行ってウロウロした。何処か、リリーだけが気が付いてくれるような所へ置いて行きたいが、叢の中では犬に嗅ぎ付けられそうだし、この辺へ置いたら家の者が見つけるであろうし、巧い方法はないか知らん。いや、もうそんなことに構ってはいられぬ。遅くも今から三十分以内に帰らなかったら、又一と騒ぎ起るかも知れぬ。「あんた、今頃まで何しててん!」―――と、そう云う声が俄かに耳のハタで聞えて、福子のイキリ立った剣幕がありありと見える。彼は慌てて葛の葉の繁っている間へ、筍の皮を開いて置いて、両端へ小石を載せて、又その上から適当に葉を被せた。そして空地を横ッ飛びに、自転車を預けた茶屋のところまで夢中で走った。
その晩、庄造よりも二時間程おくれて帰って来た福子は、弟を連れて拳闘を見に行った話などをして、ひどく機嫌が好かった。そして明くる日、少し早めに夕飯を済ますと、
「神戸へ行かして貰いまっせ。